第38回 音楽情報科学研究会 プログラム

インターカレッジコンサート2000 の情報を追加しました。
東京工科大学の インターカレッジ・コンピュータ音楽コンサート 2000の 案内もご覧ください。
http://www.teu.ac.jp/media/~akinori/pict.html
第38回 音楽情報科学研究会 (発表件数:7件)
(主査:松島俊明,幹事:上原和夫,小坂直敏,堀内靖雄)

日時 平成12年12月16日(土)13:00〜18:30
         17日(日)10:50〜19:30

会場 東京工科大学
   [〒192-0982 東京都八王子市片倉町1404-1
   スクールバス(無料)
    JR「八王子みなみ野駅」西口よりスクールバス(約10分)
   バス
    JR「八王子駅」北口より橋本駅行きバスで約20分。「御殿峠」下車徒
    歩約3分。
    JR、京王線「橋本駅」北口より八王子駅行きバスで約15分。「自然公
    園前」下車徒歩約3分。
   タクシー
    JR「八王子駅」南口よりタクシーで約15分。
    JR、京王線「橋本駅」北口よりタクシーで約10分。
    京王線「北野駅」よりタクシーで約10分。
   徒歩
    JR「八王子みなみ野駅」東口より徒歩約15分
    http://www.teu.ac.jp/]

議題

12月16日(土)
  ○コンサート1(13:00〜14:30)
  ○オープンスタジオ(14:30〜15:30)
  [15:30〜16:40] 研究会1
  (1)ICMC 2000 レポート
  平田圭二(NTT),石川修(阪大),鈴木健嗣,園田智也,瀧陽一郎(早大),
  松田周(国立音大),米澤朋子(ATR,慶大)
  (2)マルチレートフィルタと帯域制限補間を用いたウェーブレット変換による
  楽音モーフィング
  松石登界,高橋隆一,吉田典可(広島市大)
  ○コンサート2(17:00〜18:30)
  ○懇親会(18:30または19:00開始〜21:00)

12月17日(日)
  [10:50〜12:00]研究会2
  (3)ピッチクラス集合論を用いた楽曲分析プログラムの実装と問題点について
  高岡明(東京工科大)
  (4)箏曲の歌におけるメリスマの表現
  出口幸子(攻玉社工科短大),白井克彦(早大)
  ○オープン・スタジオ(12:00〜13:00)
  ○コンサート3(13:00〜15:00)
  [15:25〜17:10] 研究会3
  (5)DIPSプログラミングの実際
  橋田光代,美山千香士,安藤大地,松田周(国立音大)
  (6)静岡文化芸術大学スタジオレポート
  長嶋洋一(静岡文化芸大)
  (7)東京工科大学スタジオレポート
  伊藤彰教,吉田祐次,山崎祥之(東京工科大)
  ○コンサート4(17:30〜19:30)

*インターカレッジコンサート2000と共催
*照会先:堀内靖雄(千葉大)hory[at]tj.chiba-u.ac.jp
*最新情報は http://www.ipsj.or.jp/sigmus/ を参照して下さい。

インターカレッジコンサート2000

http://www.teu.ac.jp/media/~akinori/pict.html
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研究会 1  [14:55〜16:40]

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* 発表タイトル
ICMC 2000 レポート

* 発表者氏名(登壇者には○)
○平田圭二(NTT),石川修(阪大),鈴木健嗣,園田智也,瀧陽一郎(早大),
松田周(国立音大),米澤朋子(ATR,慶大)

* 発表概要
本稿ではコンピュータ音楽に関する国際会議 ICMC 2000 の模様を報告する.
ICMC 2000 に参加した学生が報告者となり,各自の視点から興味深かった発表
やイベントを取り上げ報告する.取り上げたトピックは,音楽検索,Max 関連
技術の動向,インタラクティブシステム,演奏の表情付け,ロボット,新しい
楽器である.

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* 発表タイトル
マルチレートフィルタと帯域制限補間を用いたウェーブレット変換による楽
音モーフィング

* 発表者氏名(登壇者には○)
○松石登界,高橋隆一,吉田典可 (広島市立大学)

* 発表概要
従来コンピュータには困難とされてきた人間の主観を研究対象とした感性情
報処理と呼ばれる研究が活発化している.感性情報処理の研究対象の一つに音
楽がある.楽音モーフィングはその研究テーマの一つである.楽音モーフィン
グには倍音成分の解析が必須である.倍音成分の解析にはウェーブレット変換
が有力だと考えられるが,スケールが2では全てを解析できない.ウェーブレッ
ト変換にマルチレートフィルタを用いることで,スケールを任意の有理数にす
ることができる.離散的な数値を扱うため,補間法も重要である.本稿では補
間法に帯域制限補間を導入してウェーブレット変換に適用し,マルチレートフィ
ルタを用いたモーフィングを行う手法を提案する.

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研究会 2

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* 発表タイトル
ピッチ・クラス集合論に基づく楽曲分析プログラムの実装と問題点について

* 発表者氏名(登壇者には○)
○高岡 明 (東京工科大学)

* 発表概要
現在までに書かれたピッチ・クラス集合論に基づく楽曲分析プログラムは、そ
のほとんどがTn/TnI typeの導出に機能が限定されている。"Dubiel"は、より
多くの機能を持つ分析プログラムである。楽曲分析においてピッチ・クラス集
合の特定を自動化するためには、ピッチ・クラス集合の分割基準が明確でなけ
ればならない。ピッチ・クラス集合論は、ピッチ集合の抽象化によって、記述
の一般性に優れるが、それ自体は分割の基準を提供することはできない。無調
音楽におけるピッチ・クラス集合の分割に際しては、Butlerの"Intervallic
Rivalry Model"が有効であると思われる。Butlerのモデルに基づき、ピッチ・
クラス集合の分割を自動化するメッソドをDubielに実装した。

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* 発表タイトル
箏曲の歌におけるメリスマの表現

* 発表者氏名(登壇者には○)
出口幸子(攻玉社工科短大),白井克彦(早大)

* 発表概要
箏曲の歌のメリスマ(1音節中の旋律)を表現する方式を知識処理
の枠組みで検討した.メリスマを旋律型の組合せとしてとらえ,旋
律型を抽象化して図式で表現し,各々の図式を知識処理におけるク
ラスに位置付けた.山田流箏曲の楽譜の一部において,旋律型のク
ラスに属するインスタンスを獲得し,別の部分において,旋律型の
クラスからインスタンスを生成できることを示した.音階の制約の
下で,旋律型が存在し,かつ限定していることを明らかにした.一
方,旋律型の組合せは複雑であり,伝承者の個人差は,組合せの違
いとして現れやすいことがわかった.箏曲譜のデータベースを実現
するためには,旋律型の組合せの分析が課題である.

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研究会 3 [15:25〜17:10]

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* 発表タイトル
DIPSプログラミングの実際

* 発表者氏名(登壇者には○)
橋田光代,美山千香士,安藤大地,松田周(国立音楽大学)

* 発表概要
"DIPS"(Digital Image Processing with Sound)は,松田周によってjMaxに実装
されたリアルタイム画像処理オブジェクト群である.jMaxがオブジェクト指向
GUIプログラミング環境で元来実現するMIDI信号処理,音響信号処理に加え,
OpenGLをも含めたさまざまな画像信号処理を可能にする.さらに,これらの信
号処理機能間の相互作用を容易に実現する.本稿ではDIPSプログラミングの実
際を各項目に分け紹介する,また,DIPSエクスターナル・オブジェクトの開発
状況についても報告する.

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* 発表タイトル
静岡文化芸術大学スタジオレポート

* 発表者氏名(登壇者には○)
○長嶋洋一 (静岡文化芸術大学)

* 発表概要
2000年4月、静岡県浜松市に開学した静岡文化芸術大学(SUAC)、
特にデザイン学部・技術造形学科について紹介する。公設民営方式
のシステムと「工房」「文化芸術センター」「人体機能実験室」等
を含む大学施設について、さらに大学新設にあたりデザイン学部と
技術造形学科のカリキュラム構築を担当した立場から「育成したい
人材」について述べる。また、すでに具体的に第1期生とともに創作
活動を開始しているメディアアートデザインの現状についても報告し、
2001年8月の音楽情報科学研究会夏シンポ開催地として「新世紀
メディアアートフェスティバル2001」(仮称)への参加を呼び掛ける。

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* 発表タイトル
「東京工科大学スタジオレポート」

* 発表者氏名(登壇者には○)
○伊藤彰教,○吉田祐次,○山崎祥之(東京工科大学)

東京工科大学は工学部・メディア学部の二学部から構成される.工学部の千種
研究室では,感性情報処理研究の一環として,音楽情報処理研究を行っている.
また,1999年に開設されたメディア学部では、コンピュータ音楽が学部カリキュ
ラム内に位置付けられている.本稿では,メディア学部におけるコンピュータ
音楽の設備と教育カリキュラム,ならびに工学部千種研究室における最近の研
究活動について報告する.



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コンサート 1

12月16日 13:00〜

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1) 萩原 丈博(早大)

     『八音(ハットン)』 Tape     -2000- (ca.10')

  八八八八
 八     八
 八     八
 八     八
  八八八八
 八     八
 八     八
 八     八
 八     八
  八八八八

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2) 佐藤 美紀子(東音)

     『ある生活の中で』           -2000-  (ca.4')

   Tape

  この曲は、何気ない日常生活の中で、様々なしがらみや考えをもちながら生きてい
 る人間の様を表現しようとしたものです。

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3) 中島 洋子(慶應)

     Solid vibration      -2000- (ca.5')

 このシリーズの作品は、全てコンタクトマイクにより、固体の振動を採録した
 素材を加工・構成している。シリーズの個々の作品素材は、それぞれ1つであ
 る。 この作品では、2チャンネルで録音した素材を用いているが、素材によ
 りチャンネル数を増やすことが可能である。概要:私達は、日常生活の中で様々
 な音を聴いている。しかし、私達は固体の振動そのものを聴いているわけでは
 ない。このシリーズでは、そのような“もの”の中から、私が以前から興味を
 持っていた素材を選択している。この作品では、ビーカーの中の液体が冷たい
 状態から沸騰するまでの間のビーカーの振動を素材として用いている。実際日
 常生活に於いてよく耳にする音であるが、固体が振動する音は、私達に新たな
 発見をするものである。

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4) 山宮 千波(東音)

     eastern youth  for oboe and tape           -2000- (ca.4')

    演奏者:未定 (oboe)

 eastern youth の 祈りの声。

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5) 吉原 太郎(山大)

     「COSMO」 Live Electone+video    -2000- (ca.10')

		       演奏者:山本雅一(エレクトーン)
		       映像 :井坂健一郎(CG制作) 

  SETIから提供された音素材から発想されるテーマ、引用詩、神秘的な印象を
 デジタル処理というフィルターを通して具体化しようと試みました。

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6) 西野 裕樹・笹岡 大樹・豊田 振一朗(慶應)

     『サドン・デス』      -2000- (ca.10')

      演奏者:西野 裕樹・笹岡 大樹・豊田 振一朗

  MSPを用いたPowerBook3台によるライブ演奏.「サドン・デス」とは使用さ
  れなくなったもののメタファー.それはノスタルジックな想念を彷彿とさせ
  るものではなく,むしろ差異の間隙,記憶のエアーポケットに存在するもの
  のことである.

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7) 米村高徳(早大)

     『Undergrown Microorganism』(未成熟な微生物)  Tape  -2000- (ca.6')

 現実的な生活の中では忘れがちだが、地球もまた宇宙の一部である。それを再
 認識しようとしたとき、未成熟な微生物の動く映像が僕の頭をよぎった。そし
 てそれを極めてシンプルな制作環境の中で表現した。

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8) 福田千絵(東音)

     『8月』  Tape  -2000- (ca.4')

  8月、田舎へ行ったときの緊張感、感動。複雑な気持ちを音に…

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9) 橋田 光代(国音)

     「Perception」 for flute and Mac/MaxMSP    -2000- (ca.8')

      演奏者:長沼 舞子 (flute)

フルートとコンピュータのためのライヴ・コンピュータ音楽作品。マイクを通
してコンピュータに入力されたフルート音は,高速フーリエ変換による周波数
解析,逆フーリエ変換やグラニュラーサンプリングによる音色の再合成,クロ
スシンセシス,ヴァリアブル・ディレイ,ピッチシフティングなどのデジタル
音声信号処理によってリアルタイムに拡張される。これらは曲の進行にしたがっ
て楽器演奏から独立し,あるいは次第に一体化していく。その際,ある時間軸
における音の響きや聴こえ方に注目し,ある瞬間それが再認識されることをテー
マに,コンピュータ・パートは自らを楽器の響きに呼応させていく。コンピュー
タパートはMacintoshのリアルタイム・デジタル信号処理アプリケーション
MAX/MSPによって制作された.

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コンサート 2

12月16日 17:00〜

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1) 三村 磨紀予(東音)

     「草原と森と牧場」   Tape       -2000- (ca.4')

  草原と森と牧場  という自作の物語を曲にしました。 好奇心旺盛で、毎日
 冒険を夢見て、大地を駆け回っている元気な子牛フィリップは、ある夜、いつ
 ものように、泉へ水をのみに行きました。すると、泉の中から、泣き声が聞こ
 えてきました。物知り鶏のモーリスに尋ねると「あの泉には、妖精が住んでい
 て、よその世界の森や草原を、泉を通じて行き来している。その泉の知らせを
 聞くことができるのは、特別に選ばれた者だけだ。もしも、妖精に、彼らの都
 草原Radianceに招待されたなら、夢が叶うと言われている。」と 教えてくれ
 ました。 その夜、フィリップが泉に行くと、妖精か現れてこう言いました。
 「深い森の中で迷子の子象が足をけがしていて動けないのです。どうか助けて
 あげて下さい。私のことは、あなたにしか見えないのです。」あの泣き声は、
 子象だったのです。 フィリップは、小鳥のルーサー、フレデリック、グレニー
 と鶏のモーリス、馬のブライアンと共に、泉へ飛び込み、子象のもとへ向かい
 ました。 彼らの知恵と勇気で子象は、無事、家族のもとへ帰ることができま
 した。森の妖精たちは、彼らに感謝し、お礼に、草原Radianceへ招待しました。

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2) 三谷 哲一(慶應)

     fluctuation  Tape???    -2000- (ca.10')

 この作品は人為的な楽曲構成に人工環境、自然環境両面から集積された
 揺らぎのデータを持ち込み構成されている。人間の意図した要素と
 全く意図のない要素により楽曲を作る事がこの作品のテーマである。

 テキスト処理言語PerlとCsound, Cmixをベースに音響合成を行なっている。デー
 タの解析にはExcel, Access, PostgreSQL, Gnuplotなどのツールを解析及びそ
 のサポートに用いている。


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3) 船越 久雄(大芸)

  「海の見える砂漠にリンゴの木を植えましょう」Tape???   -2000- (ca.8')

  メロディ、ハーモニーにポイントをおいて制作しました。ただし保守的にな
 らないように気を配りました。制作システムにはKYMA、シンセサイザーを用い、
 新たな創作の試みを行いました。

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4) 常盤  拓司(慶應)

     「推移 (movement)」 Tape    -1999-2000- (ca.15')

この作品は、昨年のインターカレッジコンピュータ音楽コンサートにおいて発
表した作品”推移”の多チャンネルバージョンである。この作品は、アルゴリ
ズミック・シンセシスによって制作され、音はすべて、ホワイトノイズとバン
ドパスフィルターによって作られている。今回は2スピーカー用にミックスダ
ウンしたものを上演する。

エンベロープ(=“推移”)は、音の立ち上がりや減衰などの、強さの時間軸
上の構造に対する名称である。それは、音を自在にデザインすることが可能な
状況において、操作することができる最も小さな時間構造と考えることができ
るだろう。この作品では、一つの単純なエンベロープから、反行や逆行などの
セリーを模倣した方法で得られたいくつかのエンベロープを作用時間の長さや
強さなどを縮小、拡大し、これまであまりエンベロープによってコントロール
されてこなかった要素(フィルターのバンド幅や音の発生密度、乱数の範囲の
変化の時間構造など)に適用することを試みている。

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5) Team「風虎」(大山真澄・加藤美咲・林文恵)(静芸)

     「Windmill」      -2000- (ca.4')
		       演奏者:北嶋 めぐみ・高木 慶子・鈴木 飛鳥
                   渋谷 美樹・田森 聖乃・竹森 由香

      
  銀色 人工の空間 動き始める 自然

  静寂 波の広がり  光る   響き

  金属 ケーブル  風が通る 流れる


      見える 見えない






         透明 



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6) 江原 寛人(IMI)

      「Aqua Vitae」 視界の外にあるヴァイブレーション    -2000- (ca.10')

      Tape

「水」のみを素材に限定した音楽作品。

単にヒーリング的(癒し系)側面でなく、一種の物質として、多種多様に変化
する「水」の音は、圧倒的な情報量を持っています。リズムやメロディー・ハー
モニー・歌詞等の羅列だけではない「何か」、そこにわたしは音楽の本体のよ
うなものを感じます。

この作品では、その「何か」を追求し、単なる物理現象としての収音ではなく、
ある種の心象風景を喚起させるような音楽作品を試みました。プロセスとして
は、ミュージック・コンクレートの手法を用い、多量にサンプリングした水の
音はすべてコンピュータ上で加工、構築しています。

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7) 米澤 朋子(慶應)

     Experiment on Tangible Sound:
     インタラクティブシステム Tangible Soundによる演奏
	     -2000- (ca.3')
       演奏者 :米澤朋子

 我々は流水をインタフェースに用いた新しい楽器としてTangible Soundを昨年
 12月のSIGMUSで発表した。今年のICMC2000でもデモシステムとして発表した
 が、この音楽作品はTangible Soundによる演奏を記録したものである。

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8) 村上 絵美(東音)

     「闇の逃亡者」   Tape          -2000- (ca.4')

  今日、私達は借金漬けの豊かな世の中で生きています。まるで麻薬をかがさ
 れているようです。私は、そんなつかみどころのない奇妙な世の中に耐え難い
 憂欝や胸騒ぎのような不安を感じずにはいられないところがあります。今回は、
 そのような時代を限りない空間として「闇」に例え、耐え難い心情を音・リズ
 ムに緊張感ある「足音」に例えてみました。この世の中から逃亡し続けていっ
 たら、いったいどうなるのでしょうか....

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9) 松岡 正悟(早大)

     Silence of Time   Tape       -2000- (ca.6')


     不調和の中の調和。

      NOISEの美しさ。
  
     無音空間に流れる音。

              これらの追求によって生まれた作品。

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10) 仲井 朋子(国音)

     「Whirlpool」 for trombone and Mac/MaxMSP    -2000- (ca.11')

       演奏者 :佐藤 洋樹(trb.)

トロンボーンと、ライブ・コンピュータシステムのための作品。トロンボーン・
パートでは、特殊奏法を中心に様々な音色変化が試みられている。また、
Macintoshコンピュータを中心に構築されたライブ・コンピュータ・システム
により、トロンボーンの音色が作り出す音響特性はさらに拡張され、様々な状
況に応じて多様に変化していく。コンピュータ・システムによるリアルタイム
音声信号処理には、グラニュラー・シンセシス、FFT/IFFTを用いたクロス・シ
ンセシス、ヴァリアブル・ディレイ、モデュレーション、ピッチ・シフティン
グなどが用いられている。これらの音声信号処理は、Macintoshコンピュータ
用のMax/MSPによってプログラミングされた。



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コンサート 3

12月17日 13:00〜

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1) 堀切 潤(IMI)

     「俺っぱぐれ」    -2000- (ca.15')

       デモンストレーション:堀切 潤

個人的な体験かもしれないが、過去を強く想起させるメディアのはずの写真や
映像を介するよりも、昔、聞いた音楽あるいは音に偶然再会した時、当時の自
分が異様なリアルさで蘇ることがある。このサウンドインスタレーションでは、
記憶を呼び起こす音(映像、テクストも加わる)との出会いを人工的に創出し、
記憶、アイデンティティ、リアリティといった問題に注目する。

記憶は、現在の自己のアイデンティティを形成する。しかしながら、記憶の中
の音楽あるいは音、イメージ、匂い、、、様々な媒介を手がかりに「私」を捕
らえようとしても、それは不可能だ。多様な価値観、環境に生きる現代人の
「アイデンティティ」は複数的であり、「俺っぱぐれ」とは、捉えようとして
も、捉えられない「自己」に内包する他者性の発見をユーモアラスに表現した
言葉である。(タイトルの「俺っぱぐれ」という造語は詩人フミモタタケシ氏
が考案したもので、私なりの解釈が施された。)ここにもはや固定した永遠の
アイデンティティへのノスタルジーはない。

さらなる詳細は作品を参照されたい。

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2) 小林 洋介(早大)

     Noise Telephon 177  Tape    -2000- (ca.5')

 世の中にはさまざまな種類の音があふれていて、例えば、テ−プのヒスノイズ
 のように音楽の世界では排除されることの多いものや、電話の呼び出し音、ア
 ラ−ムなど「音を楽しむ」という目的とは違う音もたくさんあります。それら
 の音を音楽的に全て肯定した時に、何が生まれるのか?そのような観点から今
 回の作品の制作は始まりました。この曲の基本的なテンポは携帯電話の呼び出
 し音によって決まっています。呼び出し音の間隔が一拍分の長さとなっていま
 す。録音時の起こるヒスノイズ等も音楽を構成する一部ととらえて、加工を加
 えながら随所に入っています。この音楽で伝えたい事はノイズ=邪魔者ではな
 く、美しく響く和音と同じ”音”であり、音楽だということです。

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3) 水谷 文子(東音)

     『彼岸まで』   Tape         -2000- (ca.4')

  苦しみ。なげき。しっと。欲望。これらは、ひとをつかんで離そうとしない。
 ひとはそこから逃れられるのであろうか。悟りを開いて、「約束の地」に向かい入れ
 られるのであろうか。私は、そうは思わない。

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4) 高塚 勇(大芸)

     in the kitchen  Tape???    -2000- (ca.4')

  机を叩く音も、ドアが閉まる音も、とても美しいと私は思っています。そ
 のような音をドラムセットのようにならべたら、面白そう。というのが最初
 にあり、それなら「台所」がいいだろう、と考えたのです。マリンバの音を
 使ったミニマルミュージックに深い意図はありませんが、私は美しいと思っ
 ています。日々、あふれている音たちを、「すばらしいもの」だと感じてい
 ただければ嬉しいです。

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5) Matthew Smith(慶應)

     「無題」      -2000- (ca.10')

       演奏者 :Matthew Smith

 Utilizing SuperCollider and a MIDI Controller I have experimented with
 improvising in various contexts over the last year.  My current setup is
 intended to be simple and allows for live control of volume, playback rate
 and filter adjustments for several stereo channels of audio.

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6) 大坪 洋子(神戸)

     「courage」  「光の弦」演奏を伴うライブComputer Music
             -2000- (ca.7')

       演奏者 :大坪 洋子 (光の弦)

         私の経験をこの作品に込めました。
      この作品は、
      chance→challenge→courage→dream
      で構成しました。チャンスを得る時というのは人それぞれ
      異なりますが、この作品ではどん底に陥った気持ちの中
      で得られるチャンスをイメージしました。そして、そのチャンス
      に挑戦する最大の「勇気」を表現したいと思います。
      最後はその結果得る事が出来た「希望」で終わります。
      皆様には、ご自由に想像して聴いて頂けると嬉しいです。

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7) 林 耕士朗(洗足)

     「Vacillation」  Tape         -2000- (ca.9')

 ソフトウェア・シンセサイザーで合成した音と、ヴィオラ、ヴァイオリン、女
 声、男声等をコンピュータでデジタイズし、音響処理を施した音とをコラージュ
 した音響音楽作品。

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8) 青木 晋太郎(早大)

     「Music Art」      Tape         -2000- (ca.6')

 音は目で見る事はできないが、音は「絵」になり得るであろうか。

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9) 安野 太郎(東音)

     「CHAOS.A.B.」 Tape   -2000- (ca.4')

  現代は、溢れる情報の中からいかに自分の必要としている情報を選んでいくかで、
 未来が決まるのかもしれない、情報は全て過去のモノである。この音楽も溢れる音素
 材の中でいかに曲の必要とする音を選ぶかで曲が決まる。CHAOSからの引き算、一回
 引いたら後はたしても、引いても、かけても、わってもいい。

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10) 伊藤 由紀子(国音)

     「Inextremis2」 for soprano-sax. and Mac/MaxMSP    -2000- (ca.10')
		       演奏者 :中村 剛久(soprano-sax.)

キャンセルです。



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コンサート 4

12月17日 17:30〜

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1) 河村 陽介(IAMAS)

     「Zunge」  Tape???    -2000- (ca.20')
		       演奏者 :河村陽介

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2) 衣笠 康宏(作陽)

     「時の記憶」	Tape	    -2000- (ca.5')

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3) 中橋 愛生(東音)

     Retrospect I      for trombone        -2000-(ca.4')

      演奏者 未定 (trb.)

  現在というものは過去の集積により成り立っているものです。過去は
 時が経つにつれてその記憶が曖昧となるものですが、「今」は紛れもなく
 その延長上にあり、同時に「未来」への通過点であるのです。

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4) 美山 千香士(国音)

     「Gleam」for alto-sax. and Mac/MaxMSP+SGI/DIPS    -2000- (ca.11')

       演奏者 :中村 剛久(alto-sax.) 

「Gleam」は米Cycling'74社のMax/MSPと,国立音楽大学音楽デザイン学科にお
いて開発されたDIPSを用いた,アルト・サクソフォーンとマルチメディア・イ
ンタラクティブ・システムの為の作品である。この作品では、楽器音・電子音・
映像の三者はタイトルともなっている「煌き」というテーマのもとに同等に扱
われ,またその三者が各々に融合し,また乖離する。音声信号処理技術では主
に,グラニュラー・サンプリング,FFTフィルターが用いられ,映像処理
では演奏者のリアルタイム映像とムービー画像の合成,作曲者自信によってプ
ログラミングされたDIPSエクスターナル・オブジェクトによる三次元上のリア
ルタイム・パーティクル処理などが用いられている。

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5) 青木 晋太郎(早大)

     Over Computer     ライブ・コンピュータ      -2000- (ca.5')

       演奏者 :青木 晋太郎

コンピュータが自分より凄いことをしていた。コンピュータの凄さで、自分の
「凄くなさ」が身にしみた。「凄いコンピュータ」より、「凄い自分」であり
たい。ノウミソをもう少しだけ使おう。

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6) 中島 佳秀(IMI)

    「伴走者」 裏返した足音、共に聞いた音    Tape   -2000- (ca.8')

      演奏者 :中島佳秀

都市における、ある歩者の移動において、その歩行のリズムは、他者によって
揺れ、止まり、促されるものだと考えます。雑踏の中で歩いたと言う事実は、
その足を踏み出すたびにたちどころなく掻き乱され痕跡を失っていくものでは
ないでしょうか。

歩いた私を通じてただ、交換されただけの情報を写したいと思い制作を行いま
した。

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7) 宇野 有香(大芸)

    「Go through  - 一駅の間の音楽 -」  Tape???   -2000- (ca.4')

    映像 : 本人???

 電車から見える外の景色により奏でられる音の世界を表現しました。映像を
楽譜として扱い、センターラインで音が発生します。様々な音のリズムやピッ
チの変化を自分自身で探しだしてみてください。音の世界を通り抜ける電車が
一駅の間だけ発車します。

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8) 西浜 琢磨(洗足)
      
    Mr.Daruma triped over    Tape      -2000- (ca.8')

csoundを用いた音響作品。スコアはCによって生成された。

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9) 西野 裕樹(慶應)
     
    「無題」         -2000- (ca.10')

     演奏者 :西野 裕樹

%cat ROCK_AND_ROLL > /dev/null
%rm ROCK_AND_ROLL
%exit



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インスタレーション/ビデオ作品展示

12月16日 14:30 〜 12月17日 17:30 

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1) zekue(.KR3000)(IAMAS)

    	「MT18rmx ‐ .disco18」    -2000-

 the panoramaphonic and techno sound‐ scape project 

keywords:
音と身体、可聴領域、パノラマフォニック、サウンドアート、音響と空間 
サインウェイヴ、ディスコ、シーケンシャルサウンド

4チャンネルスピーカーを使用して被験者を囲むように音が発せられる。可聴
最高音域と可聴最低音域をサインウェイヴで生成。規則性をもってそれぞれが
発せられる。無機的な音で構成される有機的なリズム(ブレイクビーツのよう
に)。マシンソウル。低音域は内臓を揺さぶり、高音域は脳髄を突き抜けます。
クラブミュージックでの体験からフィードバック。
 クラブでの音楽と映像の発表を経て、またクラブカルチャーと現代アート・
メディアアートの間に介在する言語化できないしかし確実に存在するなんらか
の隔たりへの疑問から、実験的アプローチをメインに据えたプロジェクトを進
めます。今回の研究はこのプロジェクトの一環としてサウンド面からのアプロー
チを行います。

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2) 中居 伊織(IAMAS)

    	「streetscape」    -2000-

 生まれ育った街を歩いていたとき、人に道を尋ねられました。「あの場所に
行きたくて、ずいぶん歩きましたが、どうしても辿り着けないのです。」地図
を使って道筋を確かめるとき、それを目で追うことがしばしばあります。「す
みません。この地図に道筋を書き込んでもらえますか?」ところが、人に道を
教える場合、指やペンで指し示さなければ、なかなか伝わりません。「いま、
ここですか・・・。ああ、ちょっと離れてしまいましたね・・・。」このとき、
その道筋を辿るもう一人の自分が、指やペンの先に宿ります。「もう一度行っ
てきます。ありがとうございました。」実は、“もう一人の自分”で街を歩い
てみると、いろんなことが体験できます。

 streetscapeは地図の上で指を滑らせると、その場所の音が聞こえてくる作
品です。300メートルを1秒で移動する、壁をすり抜ける、通りをまた
ぐ・・・現実では不可能な行動を、指先の動きで実現できます。今回は、
Macintoshのディスプレイとマウスを使ったバージョンをお見せいたします。

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3) 三谷 哲一(慶應)

    	「Wake」    -2000-

この作品はインターネット上でのコミュニケーションをテーマとして作成して
いる。目的はネットワークに参加している他者との距離感を音とグラフィクス
を用いて体感させる事である。ネットワークでしか起こりえない距離感を音と
グラフィクスとの間に起こる遅延を用いて体感させる。作品はJavaベースのア
クセスサーバ及びアプレット、それと幾つかの音響処理用プログラムから構成
される。

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4) 鈴木 大介(名芸)

    	「Speaking Fans」    -2000-

扇風機の振動をコンピュータが読み取って、それをもとに扇風機にしゃべらせ
るインスタレーション。普段、扇風機はしゃべりつづけるが、人が近付くとだ
まって扇風機のモノマネをする。


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5) 稲尾 新吾(国音)

    	「音文(character-soundscape)」    -2000-

このインスタレーションは3つのテキストから成り立っている。基本的には、
文字に手をかざすことによって音が発生するのだが、中には発生された音を変
容させる文字もある。また各テキストの下にあるボルトを二つ同時に触ること
によって、そのテキストを表象する詩が読まれる仕組みになっている。(作者
の視点から)“文字から想起されうる”音や効果をMSP/MAXを用いて、つくりだ
した。3つのテキストから発生する音、効果はそれぞれ影響し合う。テキスト
は石谷真理(東京学芸大学)によって書かれたものである。

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6) 安藤 大地 ほか(国音)

    	「DIPSuru?」    -2000-

松田周により開発され国立音楽大学音楽デザイン学科で開発が進んでいるDIPS
のデモンストレーション。DIPSの基本オブジェクトに加え、D3Dパッケージ,
DPXパッケージのビデオエフェクト,画像解析などを使用している。音による画
像のエフェクトの変化や,逆に画像から音響処理を制御するテクニックを用い
て、画像と音がリアルタイムに相互作用する。

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7) ビデオ作品(国音)

国立音楽大学音楽デザイン学科学生のビデオ作品集。
Alias|Wavefront社のソフトウェア"Maya"、および"composer"などを用いて制作。

「friend」 by 山口 文子
「CGロゴ」 by 稲尾 新吾
「AG(おっはーバージョン)」 by 遠藤 菜香子
「light and salt」 by 中尾 果
「born」 by 川原 大樹
「incantation」 by 横田 幸子
「検索」by 高橋 ゆかり
「"A" -type II」 by 北田 綾子
「TABACCO SHIP」 by 田邊 玄
「painting "###"」 by 鈴木 悠也
「Project one+α」by 平山 晴花
「one」 by 熊本 祐子
「decoy」  by 寺田 和也・田邊 玄

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参加大学略称 :
IMI   = インターメディウム研究所・IMI「大学院」講座サウンドデザインコース
大芸  = 大阪芸術大学音楽学科音楽工学コース
国音  = 国立音楽大学音楽デザイン学科
作陽  = くらしき作陽大学音楽学部音楽学科情報音楽専修
慶應  = 慶應義塾大学政策・メディア研究科サイバーサウンドプロジェクト
神戸  = 神戸山手女子短期大学音楽専攻科
IAMAS = 岐阜県立国際情報科学芸術アカデミー・三輪/赤松研究室
静芸  = 静岡文化芸術大学デザイン学部技術造形学科
洗足  = 洗足学園大学音楽学部シンセサイザ科
東音  = 東京音楽大学作曲科芸術音楽コース
名芸  = 名古屋芸術大学美術研究科同時代表現研究領域
山大  = 山梨大学教育人間科学部大学院教育学研究科音楽教育専修・藤原研究室
早大  = 早稲田大学理工学部複合領域・菅野研究室

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