第54回 音楽情報科学研究会開催のご案内
本研究会はシグムスコンピュータ音楽シンポジウム2004(SCMS2004)の一企画と
しての開催となります。
通常の一般講演に加え、特別講演として、菅野由弘先生(早稲田大学)による
「電子音楽の歴史」、莱孝之先生(国立音楽大学)による「コンピュータ音楽
の歴史」が予定されています。普段はなかなか聞くことができない貴重なご講
演ですので、みなさま、是非、お越し下さい。
また、下記のパネルディスカッションも予定されていますので、こちらも併せ
てご参加ください。
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パネルディスカッション:「計算機科学者はなぜ音楽を研究するのか?」
音楽情報科学研究会は任意団体時代から研究者と音楽家の交流の場としての
役割を担ってきました。そのような状況において、音楽家の立場から音楽情報
科学研究を眺めた場合、楽音合成などの研究に関してはコンピュータ音楽作品
制作などに利用できるため、研究の意義が明確に理解できるが、音楽を研究の
題材とした情報技術の研究に関しては、その目的や意義が分からない、という
指摘を受けることがあります。そこで、本パネルではこのような音楽家の疑問
に答えるべく、音楽家と研究者をパネリストにお迎えして、後者の研究の価値
(技術的・音楽的)についてのディスカッションを行ないたいと思います。
これは一見、音楽家を対象としたパネルのように見えるかもしれませんが、
実は音楽情報科学研究者が再度、自分の研究分野の存在意義を見直す好機にな
ると考えられます。
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日時:2004年3月4日(木)13:00-16:40 (17:00-18:30 懇親会)
3月5日(金)10:00-18:00
会場:神奈川県民ホール 大会議室
〒231-0023 横浜市中区山下町3-1
http://www.kanagawa-kenminhall.com/
東急東横線とみなとみらい21線の直通運転により、ぐっと便利になり
ました。
会場への行き方
テーマ:制作系研究,一般研究
照会先:堀内靖雄(千葉大学)
hory[at]faculty.chiba-u.jp
*** プログラム *** (☆90分,◎30分,○20分)
3月4日(木)
13:00-14:30
☆特別講演「電子音楽の歴史」
菅野由弘(早稲田大学)
電子機器を使用した音楽が作られ始めてから約65年、ミュージック・コン
クレートと呼ばれる録音された電子音楽が生まれてから56年、今の所「歴
史」と呼べるほどの年月は経ていないが、着実に歩を刻んで来た。この流
れは、ここ20年ほどの、コンピュータの発達により更に加速したとも言え
るが、初期の電子音楽に表現された情熱が、機器の進歩と共に失われた感
もある。ここでは、最初期から70年代の「コンピュータを使用していない
電子音楽」を、NHK電子音楽スタジオで作られた日本の作品を中心に聴い
てみたい。
14:30-14:50
《休憩20分》
14:50-16:40
◎マルチメディア・インタラクティブ・シアターピースの制作について
美山千香士(国立音楽大学)
本稿では、「Max/MSP」を用いたリアルタイム信号処理と「DIPS」による
映像を伴ったマルチメディア・インタラクティブ・シアターピースの制作
について、筆者の作品「Babel」を事例として紹介し、考察を述べる。
◎「耳の庭」の制作
銅金裕司,岩井治樹,中村恭子,大石真依子,さかいれいしう(東京芸術
大学美術学部)
耳の庭というWEBを利用した音響システムを開発・制作した。実際のガー
デンと各地にあるカフェとをネットで繋ぎ、カフェ(顧客の声)→庭(カ
フェの声と様々な庭の音とミキシング・楽曲化)→カフェ(ラジオにて受
信)とした。
○P.シェフェール/GRMにおける空間認識について ― アール・リレからアクー
スモニウムまで
水野みか子(名古屋市立大学大学院芸術工学研究科)
ピエール・シェフェールとフランスの文化政策としてのrecherche
musicaleの歴史研究に基づき、GRMもしくはINA/GRMまで含めたアクースマ
ティク音楽の系譜における「空間」概念について論じる。
◎楽曲制作のための音色理論の構築に向けて
小坂直敏(東京電機大学)
音響心理学的な音色研究は数多くあるが、制作を目的とした音色の理論は
実際的なものとしてはまだ確立していない。ここでは、現在構築中の音色
理論の概略を紹介する。巨視的なものから微視的なものまでのできるだけ
統一的に扱おうとするなど、いくつかの特徴がある。
17:00-18:30
☆懇親会(予約不要)
学生も気軽に参加できるようリーズナブルな値段でご用意する予定ですの
で、奮ってご参加ください。
19:00-
コンサート1
3月5日(金)
10:00-11:50
◎視覚的要素を取り込んだ音楽表現の可能性
中村滋延(九州大学大学院芸術工学研究院)
視覚的要素を構成に取り入れた音楽作品をこれまで積極的に制作してきた。
マルチメディアが一般化する以前からである。マルチメディア環境が一般
化したこの時代を踏まえて、音楽における視覚的要素及び映像における聴
覚的要素の特性と、その創造的可能性について、表現者の立場から論述す
る。
○デジタル音絵巻「ラーマの影」の映像システムについて
渡辺圭介(九州芸術工科大学大学院),中村滋延(九州大学大学院芸術工
学研究院)
中村滋延『ラーマの影』の映像パートのシステム・デザイン及び映像デザ
インを担当した。それらデザインについて、またコラボレーションの実際
について解説する。
○インスタレーション作品『buzz』 …… その内容とシステム
黒田芳雄,渡辺圭介(九州芸術工科大学大学院),中村滋延(九州大学大
学院芸術工学研究院)
インスタレーション作品「buzz」(2003年のインターカレッジ・コンピュー
タ音楽コンサートで展示)について解説する。この作品は、「もの」を叩
くことによってもたらされる、音のインタラクティブ性を意識して制作さ
れたものである。
○インタラクティブ・アート『夏ノ響キ』…… その内容とシステム
山田祐嗣,黒田芳雄(九州芸術工科大学大学院),中村滋延(九州大学大
学院芸術工学研究院)
アジアデジタルアートアワード03入選作『夏ノ響キ』について解説する。
この作品は日常の関係そのままをあえてデジタル表現化した作品である。
○DIPS2における新たなプログラミングの可能性
酒井由(国立音楽大学)
本発表では、Maxインターフェースを採用したリアルタイム映像処理・生
成環境である「DIPS」について、主にバージョン2において追加・強化さ
れた機能を用いたプログラミングの実例を紹介し、さらなる応用の可能性
について考察を述べる。
11:50-12:50
《昼食60分》
12:50-14:20
◎非12音平均律音楽のこころみ
小方厚(広島大学大学院先端物質科学研究科)
オクターブを12ではない数で対数的に等分割し,PCでジャズ・民謡風の旋
律・グレゴリオ聖歌などの演奏を試みた.現段階では,17音平均律の評判
が良い.
◎リズム語彙を用いたHMMによるMIDI演奏のリズムとテンポ推定
武田晴登,西本卓也,嵯峨山茂樹(東京大学)
1小節のリズムをHMMとした確率モデルを用いて、多重音を含むMIDI演奏
データから同時発音や小節線の位置を含んだリズム情報、変動を含んだテ
ンポ情報を求める。
◎自作、チェロとコンピューターのための“Double Contour”について
大村久美子(作曲家)
2000−1年のIrcamでの研修期間中に製作された拙作、チェロとコン
ピューターのための"Double Contour"の音楽的なアイディア、素材の選択、
技術について説明する。
14:20-14:40
《休憩20分》
14:40-16:10
☆特別講演「コンピュータ音楽の歴史」
莱孝之(国立音楽大学)
何世紀にもわたりテクノロジーの進歩は、私たちの音楽、音楽の楽しみ方、
そして社会の中の「音」を変化させてきた。本講演ではコンピュータ音楽
の発展を通して、音楽芸術とテクノロジーの関係を考察する。
16:10-16:30
《休憩20分》
16:30-18:00
☆パネルディスカッション「計算機科学者はなぜ音楽を研究するのか?」
モデレータ:堀内靖雄(千葉大学)
パネリスト:小坂直敏(東京電機大学),菅野由弘(早稲田大学),
平田圭二(NTT),平賀瑠美(文教大学),
莱孝之(国立音楽大学)
音楽情報科学研究会は任意団体時代から研究者と音楽家の交流の場として
の役割を担ってきました。そのような状況において音楽家の立場から音楽
情報科学研究を眺めた場合、楽音合成などの研究に関しては、コンピュー
タ音楽作品制作などに利用できるため、研究の意義が明確に理解できるが、
音楽を研究の題材とした情報技術の研究に関しては、その目的や意義が分
からない、という指摘を受けることがあります。そこで、本パネルではこ
のような音楽家の疑問に答えるべく、音楽家と研究者をパネリストにお迎
えして、後者の研究の価値(技術的・音楽的)についてのディスカッショ
ンを行ないたいと思います。これは一見、音楽家を対象としたパネルのよ
うに見えるかもしれませんが、実は音楽情報科学研究者が再度、自分の研
究分野の存在意義を見直す好機になると考えられます。
19:00-
コンサート2
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