日時: 2004年11月5日(金)13:30-17:45
11月6日(土) 9:00-17:45
11月7日(日) 9:00-12:45
※発表件数の関係上、予定を延長して3日間の開催となりました。
会場: 会津大学 中講義室M10 (福島県会津若松市)
大学ホームページ: http://www.u-aizu.ac.jp/
交通/宿泊情報:
http://www.u-aizu.ac.jp/~nisim/sigmus200411.html
観光シーズンですので宿泊予約はお早めに
懇親会: レストラン欅 (会津大学内)
2004年11月5日(金) 18:00〜20:00 会費3000円程度
懇親会への参加登録,会場問い合わせ先: 西村 憲 (会津大学)
E-mail: nisim[at]u-aizu.ac.jp
11月5日 (金)
[13:30〜15:30] 音楽情報1
(1) NIME04/MAF2004開催報告
長嶋洋一(静岡文化芸術大学)
2004年6月上旬に、SUAC(静岡文化芸術大学)を会場として開催された国際会議NIME04(音楽/芸術表現のための新インターフェース)と、同時期にSUACが開催したメディアアートフェスティバル(MAF2004)について、報告するとともに今後のトレンドについて展望する。(2) オーケストラ撮影のための楽譜情報トラッキングシステム
(3) 聴取者傾向を加味したGTTMグルーピング規則適用の演奏表情パラメータへの拡張
野池賢二(さきがけ研究21)
橋田光代(和歌山大学大学院/さきがけ研究21)
竹内好宏(京都府立須知高等学校)
片寄晴弘(関西学院大学/さきがけ研究21)
本稿では,GTTMで積極的には述べていない,グルーピング規則の適用の演奏表情パラメータへの拡張を行う.その際,GTTMにおいて明示的に述べられていない規則適用の閾値を,聴取者傾向を反映した値に定めることにより,「その人らしいグルーピングの自動推定」の実現を目指す.(4) 手作業による楽譜点訳の検証を支援するための点字楽譜自動解析システム
視覚障害者に点字楽譜を提供する楽譜点訳者を支援するため、手作業で点訳された点字楽譜を解析し五線譜に変換することで点訳を検証するシステムを、構文解析手法による解析エンジンとMusicXMLによる出力形式で実現する。
(5) PCM方式電子楽器の周波数の精度について
加藤充美(くらしき作陽大学音楽学部)
現在の電子楽器は、ディジタル化されPCM方式が主流である。この方式は音色の自然さなどが特徴であるが、そのため色々な実験に自然楽器の代わりに使われることが多い。しかしその周波数の精度は注意が必要である。本報告では電子楽器の周波数の精度を決める要因と実際の測定例を報告する。(6) 画像と音の調和に関する心理的な分析とそのモデル化
視覚と聴覚情報の調和・不調和を分析・モデル化を行い,映像と音楽のマッチングを支援し,不快に感じるコンテンツを排除するシステムを構築する.本稿では,二音和音の協和・不協和と周波数の関係分布を画像コントラストのモデルを参考にしてモデル化を行った.(7) 音楽聴取による脳波変動と気分変化、音楽選好と性格特性との関連性
「好きな音楽による快感情の癒し」に着目して、(1)脳波変動、(2)聴取前後の気分調査、(3)音楽選好と性格特性との関係、(4)音楽刺激のパワースペクトル分析の4側面からアプローチした。(8) 音楽認知情報処理に関する3つのアプローチ
1)音楽グループ聴取に関する心理・社会学的検討,2)脳機能計測を用いた音楽における没入感の計測,3)実時間音楽予測アーキテクチャ構成,の3つの研究事例を紹介し,これからの音楽認知情報処理について考察を行う.
[9:00〜10:30] 音楽認知・知覚1
(9) メロディーの認知とその心理的影響
尾花充(宝塚造形芸術大学)
三浦雅展(龍谷大学理工学部)
柳田益造(同志社学工学部)
メロディーを構成している動機(1)の組み合わせパターンを5つの類型に分類し,それぞれが人間の心理に及ぼす認知様式を調査した.心理状態を誘導する際,ポピュラー音楽の方がクラシックより有効だと考え,これを刺激に用いた.具体的には,旋律の輪郭が繰り返されることにより記憶が定着しやすいことから,このタイプの旋律が最も一般的で理解しやすいが,他に,つぶやくような形や短く呼びかけるような形があり,それぞれについての感じかたの調査を行ない,結果をまとめた.(10) 歌曲の聴取における連続的反応測定
歌の聴取時において、聴き手は時々刻々、歌詞、旋律、声など多様な要因に注意を向けているのではないだろうか。その有り様は、歌曲によって、また聴き手によってどのようなものなのであろうか。今回はWaterman(1996)の手法を借りて、歌曲を聴きながらの連続的反応測定をおこなった。歌曲の聴取・認知のプロセスに関する探索的研究を報告する。(11) 悲しい気分と音楽聴取行動:KJ法を用いた質的分析
本研究では、悲しい気分が生じている際の音楽聴取行動にどのような動機が働いているのかを探索的に検討した。調査では、自由記述による質的データをKJ法により分析を加え、その動機的側面を意味的に分類した。
(12) マルチチャンネルステレオにおける収音方式と印象の違いについて
亀川 徹(東京芸術大学音楽環境創造科)
マルチチャンネルステレオ方式の収音方式による印象の違いについて、試聴実験をおこない、試聴位置によって印象がどのように変化するかについて比較し、試聴エリアが広くなる収音方式について考察した。(13) 映像転換時の切り替えパターンと効果音の音列パターンの構造的特徴が音と映像の調和感に与える影響
本研究では、映像転換時の切り替えパターンと効果音のどのような特徴が調和感に影響するのかを印象評価実験に基づき検討した。結果から、個々の変化方向や連続性が調和感に影響することが明らかになった。(14) Sound production of MIDI piano tones in a dB scale on the basis of equal loudness
MIDI制御ピアノ音のベロシティを,基準音に選んだC4音のベロシティをパラメータとして求めた等ラウドネス曲線にもとづいて制御する方法を述べる.原パラメータとして選んだC4音のベロシティを,同音のA-加重音圧レベルで表現するものである.
(15) ギターにおけるコード列演奏の最適化に関する手法
澤山康二(同志社大学工学部)
江村伯夫(同志社大学工学部)
三浦雅展(龍谷大学理工学部)
柳田益造(同志社大学工学部)
本稿では,指配置や運指のしやすさなどの評価項目についての負担の程度を実演奏時のミスの量から最小二乗法によって求め,演奏の総負担量が最小となるように,与えられたコード列に対してコードフォーム系列を決定する手法を提案している.(16) ピアノをMIDIで駆動する際のノートオンタイミングの補正について
ピアノをMIDIで駆動した際の発音タイミングの誤差を打鍵前に補正したい.ピアノごとに全ての鍵についてノートオンメッセージの送出から発音までの時間を個別に自動的に測定することで,正確な自動補正を可能にする方法を目指す.(17) ハミングによる単旋律の自動採譜
本研究は,携帯電話端末から簡単にメロディーを入力できるようにするため,ハミングで歌った音声に対し,音価の階層性と音階の構造に基づくテンプレートマッチングによって,音価.階名の推定を行い,音符情報として出力することを目標としている.(18) 歌唱機能をもつ黒鍵追加型小型鍵盤楽器モバイルクラヴィーアIVの設計と実装
文字入力機能と追加黒鍵鍵盤を統合したモバイルクラヴィーアIVの設計・実装について述べる.さらに,そのアプリケーションである歌唱機能について述べ,小型鍵盤を用いた新たなエンタテイメントシステムの可能性について議論する.
(19) 打楽器(体・膜鳴楽器)音の音響心理学的研究 〜嗜好を中心に〜
豊島久美子(大阪大学大学院博士後期課程)
桑野園子(大阪大学)
福井 一(奈良教育大学)
研究の目的は、楽器音(音色)が人間の心理・生理状態をどのように変化させるのかを、心理及び音響学的側面から明らかにすることである。第一段階として、打楽器音(体・膜鳴楽器)を用い、聴取者の打楽器音に対する嗜好を調査した。(20) 幼児の音遊びに見る音楽的表現の変容
本発表の目的は,子どもの音楽的な表現が変化する過程を探ることである。その場で鳴らされた音,身振り,表情,言語表現といったものから,子どもの音遊びの中で音楽的にどのような変化が見られるのか,そしてその背景には子どものどのような学びがあるのか検討を加える。(21) 拍間隔の変動性が乳児の関心に与える影響
拍間隔のタイプに関わらず、生後9-11ヶ月児は親近性が高まることによって音列に対する関心が減少するのに対して、生後6-8ヶ月児は親近性の高い試行後半(5試行)には拍間隔が不規則な音列よりも拍間隔が一定の音列に対してより高い関心を示すことが明らかになった。(22) 楽曲の印象と好みに与えるテンポの影響
被験者は同一の楽曲を様々なテンポで聴取し、それぞれについて印象評定を行い、同時にテンポの好みの程度を判断した。ここでは因子分析により抽出された因子とテンポの好みの程度の関係について報告する。
[9:00〜10:30] 生理計測
(23) 音楽性幻覚の一例
佐藤正之,小久保康昌,葛原茂樹(三重大学医学部神経内科)
【患者】75歳、女性【主訴】頭の中で音楽が鳴り続ける【現病歴】2002年8月4日夕方突然、「夕焼け小焼け」が頭の中で鳴り出した.その後止めるために唄った別の曲が次々聞こえるようになった.神経学的・神経心理学的所見正常.血液・髄液・神経生理・頭部MRIに異常なし.【結語】�旋律と伴奏、音色の脳内過程は(少なくとも一部は)異なる、�一種のkindling現象が本例の音楽性幻覚に関与していたと思われる.(24) 不協和音聴取時の脳磁図について
不協和音の認知のメカニズムを調べるため、心理的協和度が異なる2音和音を聴いたときの脳磁図測定を行った。その結果、不協和度の高い短2度の和音では、左右の聴覚誘発反応において、200-400ms付近の値が他の和音に比べて大きくなるという傾向が見られた。(25) モーツアルト効果―サリエリとの比較
Rauscher(1993)の発表以降、”モーツアルト効果”という言葉が生み出され、以後10年の間、多くの実験によって支持されてきているが、今回は同時代の作曲家、サリエリの作品との効果の違いを、脳波、血流を中心とした生理学的値によって比較した。
(26) 時間差のあるパルス列のリズム感ーエンベロープパタンの影響ー
難波精一郎・桑野園子・宮嶋訓生(大阪大学)
2つのパルス列に時間差をつけて呈示すると、時間差によって異なるリズムが知覚される。リズム感を規定する時間的要因について聴覚の動特性と関連づけて考察する。(27) 楽音復元効果の検討
旋律の中の一音を削除し,替わりに雑音を入れて提示すると,削除して存在しない音が知覚的に復元される. 雑音を置き換える位置によってこの知覚的復元の生じやすさがどのように変化するかを実験的に検討した.(28) 持続時間収縮錯覚と時間間隔による文脈の関係について
音声刺激の一部を雑音で置換することにより、その刺激の持続時間は収縮する。しかし、より単純な等拍構造を持った音刺激ではこれに反する結果を得ることがある。その原因として音系列に存在する等拍構造が関与している可能性について、等拍構造を崩した刺激系列による聴取実験を通して検討する。(29) ピアノ演奏における聴覚フィードバックの利用
ピアノ演奏における聴覚フィードバックの利用状況を調べるため、熟達者と非熟達者を対象にした演奏実験を行った。その結果、熟練度に関わらず聴覚フィードバックの遮断は演奏に大きな影響を及ぼさなかった。