WGの紹介

設立趣意

近年、音楽情報処理研究は、その規模・レベルともに格段な進歩を遂げている。たとえば、音楽情報検索に関する研究は、音楽のネット配信の普及を背景に世界各国の様々な研究者が参入したことで、大きな成果をあげている。一方、自動作曲、自動編曲、自動演奏表情付けなどといった、いわゆる「生成系」の音楽情報処理研究は、人間の創造的行為の形式化という学術的に興味深い問題を含むだけでなく、コンテンツ制作支援という点で社会的ニーズも高い研究テーマであるが、現状では音楽情報検索などに比べて研究に従事するものは多くない。この理由として、成果物の客観的評価が難しいなど、科学的・工学的研究として進める上で、特有の難しさが存在することがあげられる。

生成系音楽情報処理研究が、科学的・工学的研究として健全に発展するには、生成系の様々なタスクを研究する者同士が集まり、音楽を創造する行為を「音楽を計算する」という観点からとらえ直すことで、個々のタスクにとらわれない生成系音楽情報処理研究の本質を見据えた議論を行う場が必要である。このような考えから、生成系音楽情報処理研究に取り組み、情報処理学会音楽情報科学研究会を主な活動の場とする博士後期課程の学生と若手の研究者が集まり、アドバイザとしてシニアの研究者を迎え入れ、「計算論的生成音楽学勉強会」を設立する。

2010年10月

代表 松原正樹(慶應義塾大学) 代表代行 北原鉄朗(日本大学)
大村 英史、奥村 健太、片寄 晴弘、金 泰憲、寺村 佳子、東条 敏、橋田 光代、馬場 隆、濱野 峻行、平田 圭二、深山 覚、古川 聖